これまで沢山のチェロを弾く技術を身につける為のエチュードが出版されてきました。

どれをとっても、その時代時代の名手が試行錯誤した末に記した物で、軽く言えるものではありません。

古今東西のそれらのエチュードの紹介と考察を試みてみようと思います。

以前、鈴木秀美さんから聞いたのですが、世界で最初のチェロ教本のタイトルは「ちょっとの練習であっという間にチェロが弾けるようになる本」だったとか。。。(記憶が定かではないため、多少違う可能性がありますが、とにかく笑ってしまうタイトルなのは確かです)

今も昔も同じと言うか、まぁ練習がとにかく好き、という人は。。。

と思ったけど、私の恩師のお三方は練習にチェロの研究探求に余念がありません。。。

少なくとも先生方の練習量を知る私は、先生方に胸を張って練習しました、、、とは、、言えないなぁ。。。

閑話休題、これまで沢山のチェロの教則本、練習曲が出版されてきました。

どれも効率良く目的目標を持って右手なり左手なりを訓練すべく書かれたのだと思います。

玉石混淆とは言いませんが、奏法も時代と共に変わってきたため、絶版になったものも多いです。

例えばですが、私が持ってるエチュードの中で、ストチェフスキーの本には、左手2(中指)と3(薬指)、或いは3と4(小指)で全音をとるトレーニングが書かれていますが、現代のメソードでは、2、3、4の並びは原則半音です。

左手の形は、全部の指が半音で並ぶ普通の形と、1(人差し指)と2が全音になる広い形の原則2種類です。

どの教本も、その時代の名人が試行錯誤の末、効率よく練習し、正しい弾き方を身に付けるために書かれたものですから、

決して否定できませんが、今回此処では、今オーソドックスにあらゆる所で(専門教育、情操教育、生涯教育)使用されてる教則本を挙げてみようと思います。

ウェルナー
入門書。私もこれでスタートし、つまらなくてあっという間に挫折しましたが、私の個人的疑問をよそに、今尚導入に使われているようです。

ドッツァワー
チェロのツェルニーと称される彼の113の練習曲は、右手にも左手にも大変良いエチュードですが、要根気。私には苦痛でした。。。因みに毛利先生、シュバヴ先生共に、小さい子にドッツァワーやらせると音がしっかりする、と仰ってました。

リー
セバスチャン りーの40の旋律的練習曲。私にとって初めて苦痛じゃなかったエチュード。

デュポール
21の練習曲。因みに21番が私の芸大入試の課題曲でした。今尚芸大入試にはこの中から1曲でるようです。因みにドイツでは私の知る範囲で、あまりやってないようです。7番はナヴァラメソードで異常に有名。

シュレーダー
170の練習曲。これは、シュレーダーが編集したエチュード集で、右手や左手の為の様々なエチュードが入った練習曲集となっています。日本では、毛利先生はじめ、これを薦め取り組ませる先生方が多いようです。

フランコム
12の奇想曲、及び12の練習曲。シュレーダーにも幾つか入っています。

ピアッティ
12の奇想曲。これもシュレーダーに入ってますが、重音と右手の為の素晴らしい(うんざりするほど難しい)エチュードです。因みに私はウィーンの学校の入試で弾きました。

セルヴェ
6つの奇想曲。2番がスピッカートの大変良い練習とされてて、私は2番しか(しかも冒頭だけ)やってません。。。

ポッパー
ノーコメントとしたいのですが。。。こちらポッパーの練習曲を参照ください。

とまぁこの辺が皆が通るオーソドックスなエチュードでしょうか?

グリュッツマッハーなんてのもありますが、、、

この他、指を強くする為の練習や、基礎練習を詰め込んだものもあります。

フィヤール
毎日の練習。音階を含めた大変素晴らしい基礎練習が詰まっていて、恐らくこの道に進んだ人は、皆何らかの形で恩恵に与っているのではないでしょうか。私は3冊持ってます。

コスマン
左手、指を強くする為の練習。これを朝一番の指慣らしにしている人が多いです。

シュタルケル
左手、指を強くするための練習。曲の一部を取り上げての練習方法は、大変興味深く、また、ポジション移動の練習はもっとも美しく楽しい曲(フレーズ)。

セヴシック
作品2、3は右手の為の練習。作品8はポジション移動の為の練習。

ベッカー
スピッカートの為のよい練習が載ってます。

鈴木メソード
賛否両論ですが、スズキメソードはもはや世界的であり、西洋音楽の発祥の地であるヨーロッパにも広く浸透して、あちらでも沢山の愛好家、プロ、ソリストを輩出しています。

音階
音階の教則本も多数出版されています。芸大の入試にLoebの音階教本から出されることから、これを持ってる人は多いと思いますが、周りを見ると、音階は自分なりに工夫してやっているようです。因みに私は、ノータス先生手書きの音階練習を座右の銘とし、それが譜面台に常に乗ってて、旅先にも必ず持参します。音階のフィンガリングは、Loebのと、フィヤールのフィンガリングが必修で、そこから先は自分で補い取り組んでいく感じではないかと思います。

エチュードに関しては、「斉藤秀雄のチェロ教育」という本の中でかなり詳しく、分かり易く諸先生方が議論なさってます。

この他、チェロ奏法を綴ったものとし、「チェロを語る」W.プリース、 「より自然なチェロ奏法」W.トーマス=ミフネ、「新しいチェロ奏法」V.セイガー、 「現代チェロ奏法ー私の演奏法、教授法」P.トルトリエ、などが日本版も出版されていて、分かり易く解説されています。

私が個人的に日本語訳が出て欲しいと思っているのが、G.マンテル氏の2冊と、M.クリーゲルのDVD付の一冊で、私は四苦八苦しながらドイツ語で読んでます。

また、私が大学時代室内楽を師事した田中 千香士先生の著書、「五本の柱」は弦楽器奏者が必ず身に付けねばならない右手の5つのテクニックを、分かり易く、ユーモアをもって物語で解説してあり、お勧めです。

因みに、私が学生だった頃、先生は五本の柱ではなく、弓の五大原則と仰っていました。

本棚を見ながら、自分が取り組んだものを中心に挙げてみました。

どんなに沢山のエチュードをやっても、正しいやり方でやらなかったら、悪い癖がつくだけだと思います。

そして、悪い癖は付き易く抜けずらいです。

どうか私の駄文を読んで、エチュード買い占めたりはしないで、こんなエチュードがある程度に思って、ご自分の先生が与えてくださった課題と向き合って下さい。

因みに私は昔、エチュードを沢山買ってきてはやりもせず、

でも眺めただけでやったような気になり、悦に入ってました。。。